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痛みの共有 - ALS患者を市職員が侮辱

 埼玉県吉川市役所の職員が、ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者への訪問調査で、文字盤を使ってコミュニケーションをはかろうとする患者に対し「時間稼ぎですか?」と発言したことが多くのメディアで伝えられ、埼玉県吉川市役所が批判を浴びている。

 

 この報道に関連してか不明だが、市役所へ「襲撃予告メール」が届き、市役所は警戒態勢がとられているとのことだ。

 

 いかなる理由があろうとも、市役所職員に弁解の余地はなさそうな事案である。

 

 市役所側としては「患者本人に対してではなく・・・」などと、意味の分からない言い訳をしたようだが、誰に対してだろうがどういうタイミングであろうが、ヒトとしてありえない発言だ。

 

 まさにこのブログのテーマである「痛みの共有」・・・これができない職員なのだろう。

 

 ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者さんの痛みや辛さを理解するうえで、どういう病気なのか知る必要がある。

 

 ALS(筋萎縮性側索硬化症)は「進行性に運動ニューロンの変性脱落を生じて・・・」では分かりにくいので・・・詳細は専門サイトに任せるとし、ここでは患者さんがどれほど辛い状態になるか分かりやすく記す。

 

 まず、思い通りに筋肉を動かすことが出来なくなる。腕や足を動かせなくなるだけでなく、嚥下(飲み込む運動)や話すことも出来なくなる。進行性の病気のため、諸症状は段階的に現れる。呼吸をするにも筋肉の動きは必要なため、補助呼吸を行わなければならなくなる。

 

 運動は思い通りに出来なくなるが、痛みや熱さや冷たさなどの感覚に障害は出ない。すなわち、感覚はあるものの、自分では何も出来ないばかりか、他人に伝えることも出来なくなるのだ。

 

 吉川市役所の職員の言動がいかにヒドいか、誰もが憤りをおぼえるのは当然のこと。脅迫電話や暴力行為はすべきでないが、市役所と担当者は何かしらの処罰や社会的制裁を受けてもおかしくないほどの発言である。

 

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