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脳卒中の後遺症と鍼灸治療

 脳卒中とは脳血管障害の総称で脳出血、クモ膜下出血、脳梗塞などが含まれます。

 

 脳梗塞はさらに脳血栓と脳塞栓に分類され、前者は脳動脈硬化でおこり、発症部位は中大脳動脈が多く、片側上下肢性痙性不全麻痺や言語障害を生じることがあります。後者は心房細動、心臓弁膜症、心筋梗塞などによる血栓が血管に詰まることが原因のひとつと考えられています。。

 

 東洋医学では、病にかかることを「中る(あたる)」といい、突然の言語障害や半身の自由が損なわれることを「中風」あるいは「卒中」といいます。原因には情志失調、食事不適、体虚疲労、外邪侵入などが一因と考えられていました。

 

 具体的には気の滞りで推動作用が低下、血の流れの鈍化、過食による痰湿の発生、加齢や疲労による陰陽の失調が招く気血津液の運行悪化、湿邪と寒邪による血行悪化、風邪と熱邪による風陽の誘発などがあげられます。

 

 脳卒中の後遺症への鍼灸治療で不可欠なのは、気を補い血の流れを良くすることです。そして、麻痺や振戦といった風邪にまつわる症状には肝の関わりが考えられ、肝陽が上がったままの状態を招きやすくなると考えられています。

 

 適応とするツボは病因を問わず足三里、手三里、曲池、合谷、風池、陽陵泉などがあげられます。

 

 筆者が中国・上海の病院へ研修で訪れ、脳卒中の後遺症患者への頭皮鍼,頭鍼治療を学ばせていただいた際、施術をする医師が次のように話しました。「古典や現代の中医(中国医学)において、治療方針やツボの選び方は色々あるが、頭部の血行を良くすることが大切。だから、頭皮鍼,頭鍼で沢山の本数を打つのが効果的」

 

 なるほど理にかなっているかもしれない・・・それまで、筆者の頭皮鍼,頭鍼は場所にこだわりすぎていたかもしれないと、大変勉強になる機会であったことを鮮明に覚えています。

 

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※リライト(2020年12月19日)