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腰痛の謎に「上殿皮神経障害」の可能性

 腰痛と言っても症状や原因はさまざまで、原因すら特定できない非特異的腰痛の方がむしろ多いという調査結果も報告されているほど腰の痛みは難解だ。

 

 その中でも、非特異的腰痛と思いきや、原因を特定出来る。それにもかかわらず、画像検査では確認しにくいうえに認知度が低いため、整形外科の医師ですら見落としてしまうことがあるという。さらには、未だに何処の医療機関でも治療してもらえるとは限らないらしく、まさに厄介な腰痛がある。

 

 それが、上殿皮神経障害、中殿皮神経障害である。

 

 症状としては腰から脚にかけてのシビレ。上体を斜め前方に倒すと痛みの再現。後屈すると痛み。長時間の座位で痛むなど、決定的な特徴らしい特徴がないだけに非特異的腰痛に分類されても不思議ではない気がする。

 

 圧痛部位は、中殿皮神経障害の場合には仙尾結節付近の外方「約3.5㎝」、上殿皮神経障害の場合には第4,5腰椎あたりの高さの外方「約7㎝」ぐらいの腸骨上である(具体的な「㎝」の表記は、「yomiDr.」 2017年9月6日付の記事より引用)。

 

 ただ、病院や医療関係のサイトの多くに「この部分の圧痛で判別しやすい」と言わんばかりの記述を目にするが、必ずしもそうではないと考える。なぜなら、私の経験上、多くの腰痛患者が圧痛を訴える部分である。また、月経に伴う腰痛でも圧痛を訴える女性が多い部位である。

 

 何よりも、それほど判別しやすい疾患ならば、見落とす医師がそんなに多いはずがないのではという疑問も残る。

 

 なお、これら神経の詳細や痛みが生じるメカニズムについては、多くのサイトで紹介しているのでここでは割愛するが、簡単に言えば神経走行上において神経が障害されたり靭帯などに絞扼されておきる痛みである。

 

 鍼灸治療を受ける患者さんには、「病院で診察を受けたが原因が分からないと言われた」と言って頼って来られる方は少なくない。

 

 我々鍼灸あマ指師は患者さんのQOL向上をはかるべく、問題解決の糸口を察知できるような知識や経験の蓄積が必要であり、なんでもかんでも自らの手で対象しようとするのではなく、あえて病院での診察を促すというのも役割のひとつと考える。

 

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