膝の痛み・・・関節痛の代表格

 特に中高年の人や体格指数(BMI)が高い人に多い関節痛といえば「膝の痛み」がある。膝の痛み緩和に「はり(鍼)」の治療は効果的とされている。

 

 タレントの鶴瓶さんが、ロダンの考える人を連想させる格好で「太ったせいで膝が痛くなるのか、膝が痛いせいで太ってしまうのか・・・」というセリフを発する製薬会社のテレビCMもあった。

 

 膝関節は他の関節と比較して、常に何かしらの負荷がかかっている。

 

 膝関節痛といっても症状はさまざまで自発痛、夜間痛、正座時、立ち上がる時、歩行時、階段昇降時、動作開始時など。他覚的には腫れ、徒手検査(ステインマン、マックマレー、膝蓋骨圧迫、膝蓋跳動など)で生じる痛みやクリック(関節裂隙部で生じる音や独特の感触)や異音がある。

 

 痛めている部位によって症状のあらわれ方が異なることが多い。はり師や灸師はレントゲン写真などを撮ることができないため、患者からの詳細な情報が治療方針を立てるうえで重要になってくる。

 

 膝関節は半月板、十字靭帯、側副靭帯などにより体重や衝撃を受け止めながらもスムースな運動を可能にさせるとともに、大きい負荷がかかるがゆえの防御的機能が充実している。

 

 疾患としては、前・後十字靭帯損傷、側副靭帯損傷、半月板損傷、化膿性関節炎、変形性膝関節症などがある。

 

 高齢者や肥満度が高い人は変形性膝関節症の病態が多い。これは、膝関節の退行性変化で生じた関節軟骨の摩耗がベースにあるとされ、そこに骨の増殖性変化、半月板の変性・摩耗・断裂。靭帯の変性・過緊張・弛緩。膝関節関節包の肥厚、滑膜の炎症。大腿四頭筋の筋力低下、委縮。これらが単独あるいは微小な症状が複雑にかかわりあうことで悪循環を招く場合もある。

 

 ただ気をつけなくてはならないのは、変形性膝関節症に似た症状は別の膝関節疾患でも現れることがある。

 

 また、肩や背中の痛み同様に、「ヒザ」といっても特に痛む部位が「表側」「裏側」「外側」「内側」「中側」など、患者さんによって部位の表現が各々異なるのも特徴といえる。

 

 さらに、膝折れ症状を訴える人もいる。膝折れとは、分かりやすく表現すると「膝カックン」。例えば、電車内で立ったままの状態で眠気がした時に「ガクッ」となることがある。あれに似た症状が、歩行中や方向転換する時に生じる。それもまた、変形性膝関節症で現れる場合もあるが、そのほかに半月板損傷や十字靭帯損傷などでも症状に現れることがある。さらに、大腿四頭筋の筋力低下では痛みを生じることなく膝折れを起こすこともある。

 

 膝の調子が悪いと感じたら、まずはBMIを計測してみるのも良い。計算式は簡単で、結果が25以上で肥満の域とされている。詳しくはBMIでネット検索すれば沢山出てくる。

 

 明らかな腫れや発赤や触れただけでも痛むなど日常生活に影響を及ぼすような症状があるならば、BMIを計算している場合ではなく、すぐにお医者さんに相談することをススメる。

 

 先述したが、膝関節の痛みをやわらげるのに「はり(鍼)」や「灸」は効果的である。靭帯断裂などを修復するといった根本的治療は出来ないが、疾患によってはとりあえず痛みを和らげる目的であれば、効果が期待できる。

 

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