美と健康に「鈍感力」か

 作家の渡辺淳一氏の「鈍感力(発行:集英社)」は、発行当時に総理大臣だった小泉純一郎氏の発言にも用いられ、その年の流行語大賞にもノミネートされるほどのベストセラー本です。

 

 「鈍感」は、マイナスのイメージで用いられることが多いようですが、健康の観点では「鋭い」よりも少しは「鈍い」が良いのではないかということを、医学的な観点もふまえて記されています。(このブログのタイトルは、『健康がもたらす美容への影響』という、私の勝手な拡大解釈をしました)。

 

 ただ、間違ってはいけないのが「鈍感」と「鈍感にする能力」とは違うということです。

 

 たとえば、新型コロナウイルスが感染拡大している最中に、大人数で飲食をする政治家らは「鈍感力」があるのではなく、ただの「鈍感」になります。鈍感は社会生活において「笑って済ませられる事、済ませられない事」「個性で許される事、許されない事」があると私は考えます。

 

 一方で、面倒くさい人から受ける「嫌がらせ・説教・指示・文句・難クセ」に対して、「無視をする」「『はいはい』と受け流す」などを意識的にでも出来て、気持ちの切り替えができるのは「鈍感力」といえるのではないでしょうか。

 

 渡辺氏は医師でおられるだけに、人間に備わる「ホメオスタシス」「H.セリエのストレス」「治癒力」などの学説も交えながら、健康と美容と鈍感力とのかかわりについて分かりやすく解説しています。

 

 コロナ禍で生活に息苦しさを感じる今だからこそ、鈍感力も大切ではないかと思います。

 

 家族のもとへ帰郷する時、友人と一緒に飲食をする時、映画やコンサートへ行く時、マスクだけではなくフェイスガードをするなど、しっかり対策をすれば、あとは「どう見られようが、何と言われようがお構いなし!」と鈍感力を発揮して、おおらかな気持ちになれば少しは気分も楽になるのではないでしょうか。

「鈍感力(渡辺淳一著/集英社発行)」の表紙
「鈍感力(渡辺淳一著/集英社発行)」の表紙