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美容鍼と美容施術の併用

 美容鍼を受ける患者さんは、そもそも美容リテラシーが高い人が多いため、美容皮膚科や美容整形外科でも施術を受けているという方は少なくありません。

 

 医院での美容施術は外科的手術以外にもレーザー、ヒアルロン酸、ボトックス、フォトフェイシャル、ピーリングなど、術式はさまざまです。そういった美容施術と美容鍼との併用についてですが、医師や美容鍼の施術者によって見解が分かれるものです。

 

 ネット検索するだけでも「問題ない」という見解もあれば、例えばボトックスなどでは鍼による細胞の活性化により「効果の期間が縮まってしまう」といった考えを述べる治療院なども見られます。

 

 当院においては「医師に相談して下さい」として、施術部位には鍼をしない方針をとっています。あるいは、何かしらの理由で相談をされていない場合は患者さん自身の判断に委ねるとともに、美容施術をした局所への刺鍼は避けています(全面におよぶフォトフェイシャル、レーザー、紫外線などは、必ず医師の許可をいただくことにしています)。

 

 「頼りにならないなあ」と思われるかもしれませんが、理由のひとつは、何かしらの反応が生じた場合、それが良い事であろうとなかろうと、特に患者さんにとって不利益な結果は望ましくありません。

 

 それが、医院での美容施術と美容鍼のどちらが起因しているか判断しづらくなるのは、その後の治療方針にも関係してきます。

 

 医師は医療行為者のピラミッド型序列(ヒエラルヒー)の頂点に存在します。もしも患者さんにとって不利益な反応が生じて、それが「美容鍼に原因がある」とされるのは迷惑というのも本音です。

 

 わずか数年前ですが、嘘のような話題がありました。美容鍼ではありませんが、日本のプロ野球選手がチームの専属トレーナーから受けた鍼治療が原因で障害になったと報じられました。

 

 診断したのはもちろん医師です。当然、鍼灸業界は個人・団体を含めて、医学的根拠に基づく裏付けなどを証明するように球団へ求めた結果、最終的に球団と医師が「鍼治療の有効性を理解している」なる旨も含めた、訂正文を公式に発表しました(未だに「巨人 鍼治療 失敗 訂正」の検索ワードで、多くの記事がヒットします)。

 

 このように、鍼灸施術を否定的にとらえる医師が未だに少なくないのも現実です。

 

 美容鍼で生じる代表的な副作用は内出血(いわゆる「青あざ」)ですが、個人差はあるものの概ね2~3週間ほどで消失します。ですから、解剖学的・生理学的な常識に則った、一般的な刺鍼だけの施術であれば元に戻らない(不可逆的)後遺症はありえないと考えられています。多くの人に副作用のリスクが低いとされているのが美容鍼のメリットでもあります。

 

 ただし、電気を流すパルス鍼や、何かしらの美容成分を浸透させるといった「美容鍼+アルファ」の術式を行った場合については、ブログで筆者の見解を記述するのは控えます。

 

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