「マッサージにも『副作用』があります」と言うと、驚く患者さんは少なくありません。一般的に医療における「副作用」とは、好ましくない「生体反応」として受け止められることが多いものです。
どこまでの生体反応を副作用と捉えるかはさておき、ここではマッサージの施術後に、症状の緩和や改善とは明らかに異なる違和感を覚えることを副作用と定義した場合、「揉み返し」「眩暈・ふらつき」「倦怠感」などが代表的といえるのではないでしょうか。
「揉み返し」という症状は、とかく過度の刺激を受ける事によって生じるケースが多々見られます。時には、患者さん自身が求める「強刺激」に応じた結果が招くこともあります。施術後すぐに症状にでる事もあれば、翌日になって現れることもあります。
「眩暈・ふらつき」は、施術直後に現れる場合と、施術後にしばらくしてから生じる場合があります。自宅やホテルなどでマッサージを受けたらそのまま休める環境であれば良いのですが、治療院などに出向いて施術を受ける場合には、帰宅途中に生じるといったこともあります。ですから、施術直後に車や自転車の運転をしたり、お酒を飲みに行くかなどの場合は、患者さんに助言するように心がけています。
倦怠感もまた、施術の刺激が強かったり、寝不足や過度の疲労時に生じやすいものです。そもそも「倦怠感をどうにかしたい」と言うリクエストの患者さんにおいては、ただ単に「外傷などの疾患ではない」で割り切るのではなく、生活の習慣や環境変化など多岐にわたる問診や触診を行うことが大切だと筆者は考えます。
施術後の印象として「リラックスできた」には、「すっきりして、リフレッシュした」と「力が抜けた(脱力感)」に大別できると思います。後者だと、そのまま「倦怠感」や「疲労感」につながってしまう場合があります。
これら副作用が生じやすいか否かは個人差(健康状態や体質)がありますが、手技によってある程度回避できる場合もあります。
いずれも施術後に判明するものだけに、マッサージの技術だけではなく、施術者と患者さんとのコミュニケーションによる情報交換もまた、施術効果に影響するものと筆者は考えます。
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