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美容鍼の「二次作用」?

 顔面部に鍼をする美容鍼には、美容以外の作用も期待できると考えられています。「副作用」ではなく「二次作用」と記述した理由は、「副作用」という表現はマイナスのイメージで伝えられることが多いですが、本来の意味は「主作用とは別の作用」であって、厳密には「悪い事」だけではないのです。

 

 そこで、誤解がないようにあえて「二次作用」と表現しました。

 

 本題ですが、美容鍼は文字通り肌の健康と美容を目的にする施術ですが、顔面部への刺激がもたらすとして期待される健康作用がいくつかあると考えられています。

 

 その一つがセロトニンという脳内の神経伝達物質の賦活です。セロトニンは通称「しあわせホルモン」「快楽物質」などと呼ばれることもあり、健康をテーマにしたテレビ番組や雑誌でたびたび特集を組まれることがあります。セロトニンには精神安定や鎮痛などに効果があると考えられています。

 

 また、脊柱起立筋などの抗重力筋への刺激もセロトニン賦活に効果が期待できるという研究報告もあります。顔面部にある筋肉も抗重力筋のひとつなので、筋組織への刺激と内分泌系の関連性の観点でも、相関性がうかがえるとされています。

 

 当院でも不眠、精神不安、長期間におよぶ慢性痛などを訴える患者さんに顔面部への刺鍼をする場合があります。そういう観点では、美容鍼が「二次作用」になるという捉え方もできます。

 

 ちなみに、脳内の神経伝達物質を賦活させることが期待できる他の部位として、前腕前側(解剖学的肢位)の正中神経支配領域があるという研究報告もあります。

 

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