美容鍼をメニューに取り入れる鍼灸師は、期待できる効果について何かしらの理論や施術方針を掲げているものです。
日本の法律上、美容鍼を業として行えるのは医師または鍼師に限られています。それだけに解剖学、生理学といった「医療」の観点から皮膚の知識を深めることは鍼師にとって大切ではないかと考えます。
たとえば、主な神経や血管の走行や作用、筋肉や靭帯の分布、皮膚構造や主な成分などです。とはいえ、皮膚科や形成外科といった専門性が求められるほどの知識は必ずしも必要ではないし、それを活かすような施術(皮膚を切開したり縫合するなど)は、むしろ鍼師には法律的に許可されていません。
患者さんからスキンケアやセルフチェックについて質問されることが多々あります。紫外線対策やコラーゲンの摂取など、美容に関するメンテナンスは多岐にわたりますし、色々な理論や考えがあるもので、ひとつひとつ取り上げたらきりがないですし、いずれも疎かにしてはいけないと言ってしまえばそれまでです。
筆者が患者さんに伝えていることは、いかなる方法を取り入れるにしても「継続させることが大切」ということです。裏を返して言えば、どんな美容機器・製品を用いようと、エステや美容鍼に通ったり、美容整形手術を施したとしても、「やりっぱなし」では時間の経過とともに衰えてしまうものです。
ですから、自分なりに無理なく継続させられる方法を見つけることが大事ではないでしょうか。筆者が学んできた知識や経験をもとに、現時点で推奨するいくつかのスキンケアとセルフチェックを少しだけ紹介します。
・「しっとり、ペタペタ、ベタベタ」は違います。抽象的で感覚的な表現なので、個人にとって受け取り方が微妙にちがいますが、「脂」といっても細胞間脂質、皮脂腺からの分泌物は非なるものです。ゴシゴシ洗顔後の「サラサラしたスッキリ感」は、それはそれなりに気持ちいいものですが、バリア機能も兼ねる「しっとり感」を失うことはいいことではありません。
・「紫外線は外出時だけ気をつける」は間違いです。紫外線量こそ天候や環境によって異なるものの、光があるところには基本的に紫外線は存在するものです。紫外線対策は日焼け止めを塗ることです。特に洗い流しやすい、肌にやさしいものがいいとされています。
・「いろんな成分がひとつにおさまっている」が必ずしもいいとは限りません。どのような成分が皮膚のどの層に多く含まれていて、皮膚から浸透する成分であるかがポイントのひとつになります。
その他にも筆者には筆者なりの理論がありますが、最後に「マイクロスコープ」活用のススメです。
当院では希望する患者さんに自由に使っていただき、必要であれば筆者なりのアドバイスもしています(疾患などの診断や治療の目的としては行っていません)。
数千円で購入できる安価なものもあります。数十万円もする業務用まであ必要ありません。最低限、ミリ単位で自身の肌の状態を「何となく」でもチェックすると、さらに美容やスキンケアのリテラシーが高まると思います。
(画像説明)
筆者のアゴ下部分をマイクロスコープで撮影したものです。この部分をひとつの基準にするという考え方もあると言われています。潤い感はもう少しあった方が良さそうです。コメド(面ぽう、白・黒ニキビ)はみられません。キメの細かさはまずまずですが、アゴ下部ならばこの程度はキープしていたいものです。年齢的(52歳)には、まずまずだと思いますが・・・。
【関連リンク】
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