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美容鍼の「パルス鍼」、当院の考え

 鍼に電流を流す術式のことを「パルス鍼」とか「低周波鍼通電」と呼ぶことがあります。美容鍼でも用いられることがありますが、当院では美容鍼での顔面部(特に表情筋に強収縮を生じさせる目的と刺激量)の鍼通電施術は、現在のところ患者さんの希望がないかぎり積極的には行っていません。

 

 このことは以前にもブログで書きましたが、あえて今回も取り上げた理由は、最近数名の患者さんから美容鍼のパルス鍼の効果について質問を受けたり、とある鍼灸治療院経営者と会話をした際に顔面部のパルス鍼について意見交換をしたためです。

 

 結論から申しますと、患者さんと施術者の双方が、予想しうる効果とリスク対策について理解と合意をし(インフォームドコンセント)、万が一鍼通電が原因と推察される副作用が生じても、双方の自己責任のもとで相手方だけに責任を追及しなければ、法律や機器の用途と対象部位の観点では、それなりの効果を期待できる術式と考えます。

 

 ここからは、筆者の知識と経験ならびに筆者自身が都内の某有名美容鍼灸院で受けたパルス鍼のインプレッションも含め、美容鍼のパルス鍼で期待できる効果とリスクを簡単に紹介します。※あくまでも筆者の個人的な見解です

 

<期待できる効果>

・「リフトアップ感」「引き締まり感」「血とリンパの循環促進によるスッキリ感」などは、まさに鍼通電の真骨頂ではないでしょうか。ただし、「リフトアップ」の持続性は短期的な印象があります。

 

<リスク>

・迷入再生 ※当院では電流量を調整できる機器を用いて、筋収縮を確認できない程度の微弱電流量に留めています。それでもポリモーダル受容器には刺激が伝わると考えられています。

・細い鍼を用いた場合の総電流量と切鍼(鍼が折れること)※当院では「クーロンストップ」という安全装置をそなえる機器を用いるとともに、接続する鍼だけ太さを変えています。

 

 「脅かさないで!」という施術者やお客さんもいるでしょうが、美容鍼は医師と鍼師にしかできないれっきとした医療行為に分類される施術です。 イタズラに怖がらせるほど詳細な説明は必要ないでしょうが、期待できる効果はもちろん、リスク対策も伝えるべきは当然のことだと思います(いわゆるインフォームドコンセント)。そのうえで、選択するか否かは上述通りの「自己責任」だと筆者は考えます。

 

 美容も健康も継続することが大切です。一時的な効果でよければ鍼通電はそれなりの効果を期待できます。しかし、長期的に考えると必要最低限のオーソドックスな術式だとしても、無理なく定期的に通え、サイフに優しい価格の美容鍼の方がいいのではないかと筆者は考えています。

 

<添付写真の解説>

*筆者自身が都内の某有名美容鍼専門店で受けたパルス鍼の施術風景です。用いられていた「低周波治療器」のメーカーが推奨している鍼の太さは0.2mm以上ですが、ここで用いられていた鍼は0.14mmの細い鍼でした。法律的には問題ありませんし、日本製のいい鍼なので問題ないでしょうが・・・。

 

通電周波数は1Hz前後だと推察します。電流量は筋収縮がしっかり生じる程度でした。通電本数と時間から総電流量は1クーロンに達していないとは思いますが・・・。ちなみに、用いられていた低周波治療器は電流量を目視で計測できない機種で「クーロンストップ」の安全装置もついていないタイプでした。

 

施術者からリスク対策などの説明はなかったので、施術者がどの程度の知識を有しているかは分かりませんでした。

 

 

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「筆者自身も体験する」がモットーです
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