お灸、治療とリラクゼーションに

 灸とは、ヨモギの葉から作られるモグサを燃焼させて皮膚に熱を与える療法です。鍼やマッサージ、電気式温熱機とは違う、芳香も含めた独特な効果が期待できることでも知られています。

 

 熱し方はモグサを皮膚に直接置く方法と、皮膚との間に何かを挟んだり近づけて熱を伝える方法があり、前者を「有痕灸」、後者を「無痕灸」と大別することもあります。

 

 「有痕灸」は文字通り、灸による火傷痕が残ります。個人差もありますが、体質や部位や施術程度によっては数年以上にわたって残ってしまいます。有痕灸は組織を損傷させ、人為的に火傷、炎症を生じさせて生体防御をはたらかせることを目的のひとつにする療法なので、灸の火傷痕が残るのは当然のことと理解すべきです。

 

 「無痕灸」は、皮膚とモグサの間に厚手の紙や野菜の薄切りなどを挟んだり、皮膚から離して熱を伝えるため、基本的には痕が残りません。また、直接モグサを皮膚に乗せても、焼き切る直前に取り除くといった技術的に火傷痕にならないようにする方法も無痕灸に含めることがあります。ドラッグストアなどで販売されている、厚紙にモグサがのっているお灸が無痕灸になり、特に「台座灸」と呼ばれるものになります。

 

 有痕灸にするか無痕灸にするかは、疾患や症状にともなう治療方針ならびに、施術者から患者さんへの説明と双方の同意によって決めます。

 

 灸をする際のモグサの大きさや形状もいくつかあり、治療目的によって変えます。たとえば有痕灸だと糸のような細さから、米粒ぐらいの大きさが一般的です。無痕灸で施術者みずからが手でつくる場合には、直径1センチ弱にもなるドーム型やピラミッド型にする場合もあります。

 

 すなわち、熱さや痕に残るか否かは、モグサの形状や大きさに比例するわけではなく、術式で調整されるものといえます。

 

 お灸には赤外線やホットパックなどの電気的な温熱とは違う独特なものがあります。

 

 数年前からリラクゼーション効果があるとして、市販されている比較的やわらかい温度の台座灸をセルフケアに取り入れている女子がいるなんて話しを聞いたことがあります。

 

 そもそも温熱は治療とリラクゼーションのいずれにも効果が期待できるもので、特に女性との相性はバツグンではないかと筆者は思っています。

 

【関連リンク】

美容鍼

腰痛-肩こり

頭皮鍼

つぼ-ツボ・経穴

心理社会-ストレス

「血海」というツボに無痕灸
「血海」というツボに無痕灸