マッサージ、あん摩、指圧は国家資格を必要とする業ですが、その違いはほとんど知られていません。
マッサージは起源がヨーロッパにあり、患者さんの皮膚にオイルやパウダーなどを塗って直接触れ、求心性(心臓の方向に向かって)に手技を施します。
あん摩は中国が起源で、「按摩」とも書きます。「按」は押さえること、「摩」は撫でることを意味します。遠心性(心臓から離れる方向に向かって)に手技を施します。いわゆる日本の「もみほぐし」で用いられる手技は、マッサージよりもあん摩が近いのではないかと筆者は考えます。
指圧は古法あん摩や導引や米国の療術などを取り入れて日本で体系化されたもので、一点の施術部位に圧を加えたら、そのまま指を動かさずに留めておくということが特徴です。
マッサージは施術者の手が患者さんの肌に直接触れますが、あん摩と指圧は直接触れずに衣服や手ぬぐいなどの上から施術をします。
マッサージは血行やリンパの流れを改善させたり、筋緊張の緩和や心身の疲労回復に向いています。あん摩は体調の不具合を「虚実(弱っているか、滞っているか」といった病態でとらえて施術部位や手技を使い分けます。
実際にはもっと詳細な違いがあり、施術者は各々を区別して施術を行いますが、患者さんが意識することはまずありませんし、気にする必要もないでしょう。ただ、全身にオイルを塗るマッサージを特に「オイルマッサージ」などと呼ぶことがあります。これはこれで別の施術メニューとして扱うことが多いというのも日本の特徴ではないでしょうか。
患者さんにとって「気持ちいい」はもちろんですが、痛みや不具合を改善させる医療行為の一種でもあります。
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