「社会神経系」という視点も

 筆者がはじめて「社会神経系」という概念に接したとき、自律神経の作用について新たな視点でとらえる感覚が芽生えたことを今でも覚えています。

 

 「社会神経」の考え方を知るうえで欠かせないのは、米国のステファン・ボージェス博士が提唱した「ポリヴェーガル理論」というものではないでしょうか。

 

 日本語訳された書籍も発行されていて、医療に関する知識がなくても興味深く読み進められると思います。

 

 筆者にとって、どういったことで参考になったかというと、理論がどうこうというよりも、思考力や想像力を喚起してもらえたことにありました。

 

 鍼灸やマッサージを業にする者は、自律神経の作用を利用した施術を行うことが多いものです。しかし、現代の科学や医学が進歩しているのに、神経の作用や疾患原因や脳への伝達機序などで解明されていないことが多いと言うのも事実です。

 

 鍼灸やマッサージの治療において、患者さんの病態把握や治療方針を立てるうえで、さまざまな角度から症状を捉えることができる知識は大いに役立つものです。たとえば、自律神経は交感神経と副交感神経に大別されます。いずれの作用や関係性は「優位・非優位」「拮抗関係」などと表現されることが多々ありますが、それらはあくまでも解明されているんほんの一部にすぎません。

 

 医師や学者ではないので、特に臨床の鍼灸師やマッサージ師は専門的に研究する必要はないかもしれませんが、科学的な検査ができない身分にあるからこそ、広い知識と柔軟な思考や想像力が必要だと筆者は考えます。

 

 医は知識と技術と経験の3本柱が大切であることは、医療の東西や古今に違いはないと思っています。

 

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*リライト:2020年5月16日