「炎症が起きている」とは

 炎症とは、細菌などの異物を除去したり、損傷した組織を修復するといった作用であり一種の防御反応といえます。

 

 炎症の兆候には発赤、熱感、腫脹、疼痛、機能障害があり、治療方針を考えるうえで大切な要素になります。たとえば、それらの兆候が明らかな初期の段階では、温めるよりも冷やした方が良い場合もあります。

 

 外見上では確認しづらい「炎症を起こしている可能性」を推察する場合でも同様です。どういう状況かというと「寝ちがえ」や「腰痛」などでみられる、筋線維や靭帯や腱などを痛めている可能性の推察です。

 

 そういった場合、何をもとに治療方針を考えるかと言うと、思い当たる動機あるいは症状が現れてからの経過時間といった情報です。

 

 超音波検査機を使えば炎症の疑いを目で確認できますが、一人一人に行うのは時間や施術効率を考えると現実的ではないのが実情です。

 

 組織が損傷すると、そこからカリウムイオン、水素イオン、発痛物質の元になる物質などが生じます。また、血液中の血小板からはセロトニン、肥満細胞からはヒスタミンなどが遊離した結果、脳が痛みととらえる情報が伝達されます。

 

 これらの物質のなかには、痛みに関与するだけではなく、血管を拡張させる働きにもかかわるものもあります。

 

 血管が拡張すると血管透過性の亢進や、血小板が集まることにより血小板からセロトニンが遊離され、痛みの感覚がさらに増強する一因になります。

 

 また、炎症は炎症でも、発赤のメカニズムが異なる「軸索反射」という現象も見られますが、これは発赤する機序が異なり「神経性炎症」と呼ぶことがあります。

 

 炎症部位に生じる一連の作用により症状が落ち着いてくればよいのですが、長期化してしまうと発痛物質を受け取る受容体が発現する場合があるという報告もあります。

 

 受容体が増えるという事はそれだけ脳へ痛みとしての情報が伝わりやすくなるわけで、エスカレートすると本来は痛みと感じない刺激ですら痛みとして脳へ伝わりやすくなるというのです。

 

 治療を好む人は多くありません。しかし、早期に治療を受ける事で治療方針が立てやすくなるなど、長期的な視点にたつと時間や費用の負担を抑える場合もありえます。

 

 ひとつの目安として、痛みなどを発症してから3~4日経過しても症状が変わらなければ、医師や鍼灸師やマッサージ師などの医業従事者に相談することをおすすめします。

 

 また、症状が徐々に和らいできたとしても、約4週間経過してもなお違和感が残るようであれば、やはり相談してみることをおすすめします。

 

 症状や疾患によって「急性」「亜急性」「慢性」の目安が異なりますが、芳しくないのは自己判断です。

 

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