· 

腰痛治療、現代医療も完璧ではない

 鍼灸やマッサージによる治療を否定的にとらえる医師がいます。その根拠に「エビデンス不足」をあげる医師がいます。では、現代医療はそれほど完璧なのかと言うと、そのようなことはありません。

 

 エビデンスとは根拠や証拠という意味で用いられることがあり、鍼灸やマッサージなども含む医療の現場でもよく使われます。

 

 言葉だけが独り歩きすると、エビデンスが存在しないものはあたかも”疑わしい”かのようにとらわれかねませんが、研究や論文が存在すればそれが全てというわけではありません。

 

 実際に科学技術の進歩や研究方法によって、エビデンスが存在するとして、それまで常識とされていたことが、新たな発見によってくつがえされることもあります。

 

 ここでは腰痛に限定してお話しすると、原因が特定できない非特異的腰痛に分類される患者さんは、腰痛に悩む人の約85%にのぼるという報告もありました。

 

 しかし、2012年から約6年超ぶりに改訂された日本整形外科学会と日本腰痛学会が監修する「腰痛 診療ガイドライン2019」によると「約22%程度に過ぎなかった」「『腰痛の85%が非特異的腰痛である』という根拠は再考する必要がある」と記されているのです。

 

 時代がかわれば調査基準・方法も異なり、結果も変わって不思議ではありませんが、85%と22%の差はかなり大きいと感じます。どうしてこのような結果が出たのかについて、簡単な説明も記されていましたが、ここでは端折ります。

 

 腰痛の治療には投薬療法、物理・装具療法、代替療法、運動療法、認知行動療法などさまざまですが、疾患と症状は個人差が大きく、治療効果も人それぞれであり、現代医療であっても全ての腰痛症状に効果をあらわす絶対的な治療法は存在しないということが見えてきます。

 

 では腰痛に悩む人はどうすればよいかというと、自分に合った方法を探すのです。

 

 お金も時間もかかるし、精神的にも辛くなってしまうかもしれませんが、長い人生のQOL維持と向上を考えると、あせらずにゆっくりでいいので、あきらめないことが大切です。

 

 何もせずに時間の経過とともに改善するとは限りません。むしろ、解剖学や生理学と言った現代医療の視点で考えると、年齢を重ねれば症状が悪化しても不思議ではありません。

 

 医師や施術者によって治療方針や病態のとらえ方が違います。また、臨床経験だって異なります。

 

 そして、治療を受けても症状が改善しなければ「整形外科はあてにならない」「鍼灸やマッサージは効果がない」とあきらめるのではなく、ご自身の生活習慣や姿勢を見直すといった努力も大切です。

 

【関連リンク】

ヒント-生活の質の向上

腰痛-肩こり

つぼ-ツボ・経穴

頭痛-首こり

美容鍼

 

*リライト:2020年6月29日