「痛み」に関する研究において、原因や機序が少しづつ明らかになってきています。
原因不明の慢性的な痛みには心理社会的要因、気象状況、微細な毛細血管の増加などが関係する場合があるなど、さまざまな報告もあがっています。
痛みとは、脳で感じるものですが、痛みを取り除くためには「痛みの発信点」を把握する必要があります。
筆者が入会している鍼灸学会Tokyoの研修会にて、明治国際医療大学・鍼灸学部学部長の伊藤和憲先生が、その「発信点」について分かりやすい解説をされていました(筆者がいう「発信点」を、伊藤先生は「中心」と表現されていました)。
先生曰く、痛みの中心をイメージする場合、大別すると抹消組織(組織に関連)、脊髄レベル、脳レベルの何処にあるかを探る必要がある。それによって、どのように治療を進めていくか変わってくるといった主旨のものでした。
一見「当たり前」と思うかもしれませんが、これらを現代医療の観点で理論的に説明をするとなると、なかなか難しいです。すなわち、「筋肉で効果がなければ神経を」「解剖学でダメなら経脈を」といったものとはちがうのです。
鍼灸やマッサージの治療に訪れる患者さんには、慢性的な痛みで困っている人が多いです。病院を訪れても異常なしと言われ、さまざまな治療法を試した結果、鍼にたどり着いたという人もみてきました。
鍼灸師やマッサージ師にとって重要なのは患者さんからの情報です。科学的な検査が行えないだけに、痛みの原因や機序をイメージできる知識と技術が必要になります。
鍼灸治療における医学的基礎は西洋、東洋(中医、古典)などさまざまですが、痛みをやわらげることをひとつの目的にしていることに違いはありません。
特に慢性的な痛みに対する治療を得意と考えられているうえで、痛みに対する理解を深めることは不可欠なことなのです。
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