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美容鍼と「美容成分」を考える

 美容鍼の効果について、これまでさまざまな観点や筆者独自の考察をブログで紹介してきました。

 

 効果のあらわれ方には個人差があります。それは現代医療でも例外ではなく、同じ術式や薬が誰にでも等しく効果を出すとはかぎりません。

 

 患者さんから質問されることに「美容成分は何がおすすめですか?」があります。ここでは一般的に言われていることを簡単に紹介します。

 

 化粧水の容器に記されている、よく目にする含有成分にはヒアルロン酸、ビタミンC、プラセンタ、コラーゲン、セラミドなどがあります。

 

 皮膚の主な構造は角層、表皮、真皮、皮下組織に分けられます。そして皮膚の厚さは、足底など厚みがある部分を除くと概ね2mm程度と考えられています。

 

 ヒアルロン酸は保水力があることで知られています。肌の弾力性にかかわるとされていますが、経皮的には角層よりも深い部分へは到達しないと考えられています。深部にとどける方法として、電気を使ったエレクトロポレーションやイオン導入といったものがあります。

 

 コラーゲンもヒアルロン酸同様に、肌の弾力性などに関わるとされています。ただ、やはり分子が大きいため角層よりも深部には到達しづらいと考えられています。各層での潤い保持に効果があります。コラーゲン入りの食物についてですが、「体内で分解されるため意味がない」という見方もある一方で、「完全に否定するほど無効化ではない」という見解も存在しているようです。シワやたるみの促進を抑制する効果があると考えられている成分の代表格のひとつです。

 

 ビタミンCは肌荒れやシミの亢進抑制にはたらくと考えられています。ビタミンは水溶性と脂溶性があり、ビタミンCは水溶性のため基本的には体内に蓄積されません。裏をかえせば不足しがちのビタミンともいえます。抗酸化作用とコラーゲン合成の面で不可欠です。

 

 セラミドは角層にある角化細胞(ケラチノサイト)の間で「レンガ・モルタル構造」と呼ばれる組織構造部分の「モルタル」にあたる細胞間脂質の成分のことです。保湿とバリア機能に長けていると考えられています。

 

 最近、TVのCMでもよく目にするようになったプラセンタは、分子が小さいため物理機器を用いて角層よりも深く浸透させやすいとも考えられているようです。ただ、プラセンタに限ったことではありませんが、効果だけではなくアレルギーなどの体質的な向き不向きがあるので、予めチェックすることも大切です。

 

 どの成分を主体にするかは、ご自身の肌質や目的にあわせて選択すると良いでしょう。ただ、美肌に大切なのは「休息・栄養・紫外線対策」です。また、専門家によっては「人体に備わっている保湿成分を最大限に引き出すメンテナンスをすれば、化粧水や美容液などにこだわる必要はない」と唱える人もいます。

 

 人間に備わっている力を引き出すという考えでは、美容鍼・美顔鍼も同じではないかと考えています。「過ぎたるは及ばざるが如し」という言葉がある通り、化粧品や美容品に頼って、あれもこれもと入れることが逆効果を招くリスクも否定できません。

 

 筆者の患者さんには、そういった観点からも美容鍼・美顔鍼の有益性を説明させてもらっています。

 

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*リライト:2020年3月16日