筆者が頭皮鍼に強い関心を抱いたきっかけは、研修で中国・上海の医大を訪れた際、脳疾患を専門にする鍼治療の臨床を見学させていただいたことでした。
それまでにも、世界的に有名な日本人医師である山元先生が考案されたYNSAや国際標準頭穴などを独自に学んでいましたが、当時は学生でも参加できる講習会がほとんどなかったため、臨床で頭皮鍼の効果を目の当たりにすることなど到底できませんでした。
中国の臨床研修で見た頭皮鍼と、それまで独自に学んでいたものとの大きな違いは施術時の姿勢と鍼の本数でした。
日本では、座った姿勢で鍼治療をすることはあまりありません。鍼の刺激により、のぼせや貧血をおこして倒れるリスクが高いという考えもその理由の一つです。また、患者さんがリラックス出来ないからという見解を述べる先生もいます。
治療に用いる鍼の本数ですが、少ない本数で効果を高めることが望ましいと考えられる傾向があります。
しかし、上海での臨床研修時、鍼の使用本数について質問したところ、「疾患や症状、どういう効果を期待するか、治療方針で考えるため、本数にはあまりこだわりません。頭部における血行促進を目的にするならば、数多く打った方が効果が期待出来るというのが私の考えです」ということで、脳梗塞の後遺症がある患者さんへ、イスに座った状態で50本以上におよぶ鍼を施していました。
頭皮鍼では頭痛緩和、ストレス解消、自律神経の乱れ、不定愁訴緩解などの効果が期待できることは知られています。さらに、身体部位の機能改善や四肢や体感の疼痛緩和や感覚異常の改善も期待できると考えられています。
巷で人気の頭皮マッサージやヘッドスパに治療効果をプラスしたのが頭皮鍼ではないかと筆者は考えています。
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*リライト:2020/04/08、2021/07/24