現代の解剖学、生理学における脾臓の主な役割りに、古くなった赤血球の破壊があります。対して東洋医学においては摂取した飲食物から気血津液を生成する役割を担っています。
東洋医学の「脾」と現代医学の「脾臓」は異なるので、作用も違うのは当然ですが、他の臓器と比較しても特にかけ離れています。
脾の生理作用とは「運化」「統血」「昇清」です。特に現代的に分かりやすくいうと消化吸収といったところです。そのため、体調不良では主に消化器系に症状が現れることが多いのです。
具体的に消化器系の愁訴の一例としては吐き気、軟便、腹痛、食欲不振などがあります。
運化作用が低下すると、気血津液をちゃんと生成できなくなります。すると、水分が停滞して体が重だるく感じたり、疲れを感じるようになります。症状としてはむくみなどに現れます。
さらにわかりやすい表現としては「元気の源」になります。東洋医学的な「元気」となると、微妙に意味合いが異なってくるため、ここは今風に「元気」ととらえていただいてかまいません。
しっかり栄養を取って、適度に体を動かすことが脾の正常な働きにつながるのです。ついでに脾は「四肢、肌肉を主る」とされています。肌肉の解釈は「筋肉」「軟部組織」など、日本語にすると見解が微妙に分かれます。ちなみに中国語では筋肉の意味が近いです。
ちなみに「筋を主る」とされているのは「肝」になります。しかし、筋は筋で「腱」「靭帯」といった解釈もあります。
少々ややこしいですが、筆者の考えとしては、皮下組織と腱、靭帯、筋組織で疲れやだるさをともなうえば脾、運動による痛みは肝、ぶつけた痛みでは肝と脾のいずれも治療対象として疑いの目を向けます。
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