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脳で感じる「痛み・熱さ・冷たさ」

 人体で最大の臓器が皮膚です。皮膚は大別すると表皮、真皮、皮下組織の三層構造になっています。

 

 表皮は組織学的には重層扁平上皮というもので、最も深部の基底層には皮膚の色にかかわるメラニン産生細胞やターンオーバー(再表層の角層になってはがれ取れるまでの周期)のスタート地点になります。

 

 基底層にある、特に大切な役割りを担うものが、外部からの危険から身を守るために痛みや温熱を感じる受容器である自由神経終末です。

 

 自由神経終末はさらに、痛みとして受容する高域値機械受容器やポリモーダル受容器。痒みとして受容する「痒み受容器」なるものなどに分類されます。

 

 その他の主な感覚受容器にはメルケル盤、マイスネル小体、ルフィニ小体、パチニ小体、クラウゼ小体などがあります。主に表皮にあるのが痛覚を受容する自由神経終末と触覚を受容するメルケル盤です。

 

 もうひとつの触覚を受容するマイスナー小体、温覚のルフィニ小体、冷覚のクラウゼ小体、圧覚のパチニ小体などは主に真皮層に多くみられます。

 

 ただし各々の受容器は、各層に規則的に整然と存在する訳ではなく、例えばパチニ小体のように真皮から真皮深層の皮下組織でみられるのです。

 

 その他にも温度によって痛みとして受容するものなど複雑かつ多数存在しますが、すべてが完全に解明されているわけではありません。

 

 これらの受容器が受け取った信号が脳へ伝達されることで痛みや冷たさなどとして識別されるのです。すなわち、たとえば手を怪我した場合、痛みを感じるのはその部位ではなくて、脳で感じていることになるのです。

 

 ですから、感覚を受容する部分や、そこから脳へ伝達される神経走行上に異常を来すと、脳へ信号がスムーズに伝わらず、熱さや痛みを正しく感じることができずに大やけどや大けがになったりしてしまうのです。

 

 鍼灸治療やマッサージにおいて配慮しなければならない疾患に糖尿病や感覚障害の有無です。たとえばお灸をする際など、熱さを正しく感受できないとやけどの原因になります。

 

 マッサージの場合、チカラ加減をただしく感受できないと予期せぬ障害を招くのです。

 

 人体はこれら「感覚」によって危険を察知するなどして守られているのです。

 

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