”肩こり”は英語でstiff shoulderまたはtraps painが症状として似ているのではないかと、日本在住の英国人の知人から聞いたことがあります。
ちなみにtrapsとはtrapezius muscle(僧帽筋)を略したものですから「僧帽筋の痛み」 ということになります。
肩こりは疾患名ではなく、後頭部から後頚部を通り、僧帽筋をつたって肩峰にかけての広範囲におよぶ、筋肉の緊張感をともなう痛みや不快感とでもいう症状で、マッサージや鍼の治療で改善効果が期待できる代表的な症状でもあります。
また、医師に相談する前にマッサージや接骨院で施術を受けるという人が比較的多いのも肩こりの症状の特徴ではないでしょうか。しかし、痛み方や痛む場所によっては、根本的な原因が別にあるのではないかと推察することもあります。
たとえば・・・
・神経性 : 頚椎症(脊髄症・神経根症)、胸郭出口症候群など
・骨性 : 変形性頚椎症など
・関節性 : 変形性頚椎症、椎間関節症、関節リウマチなど
・筋肉性 : 筋筋膜性疼痛症候群(姿勢性・職業性)など
・その他 : 肩関節疾患(肩甲上腕関節、肩甲胸郭関節)、肺腫瘍、狭心症、心筋梗塞、高血圧、胆嚢炎、胆石、膵炎、胃炎、鼻炎、副鼻腔炎、眼精疲労、片頭痛、緊張型頭痛、心身症、神経症、うつ病、顎関節症、不全咬合など
特に肩こりとともに、下記の症状があらわれている場合には注意が必要です
・悪化傾向 : 発症時から時間経過とともに痛みが強くなっている
・安静時痛 : 姿勢や動作とは関係なく、じっとしている時や夜間
・筋力低下 : 明らかな運動障害(力が入らないなど。ただし、必ずしも痛みを伴うとは限らない)
・排尿(便)障害 : 出づらかったり出ないなど
・腕の感覚異常 : しびれや放散痛など
明らかな原因疾患がない肩こりの症状は、狭義の「頸肩腕症候群」などが考えられます。
原因には頸椎の生理的前弯の減少(ストレートネックなど)、なで肩、頸部周囲の筋力低下、筋緊張。長時間の同一姿勢や外傷による血行不良などが考えられます。
気をつけたいのは、マッサージで「ごりごり」強く揉めば良いというものではありません。症状によってはお風呂に入ったり、超音波やホットパックなどであたためたりするだけの方がいい場合もあります。
ただ、外傷の初期で、炎症を起こしている場合は温めるのは良くない場合もあるので注意が必要です。
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*リライト:2020年4月5日、2020年9月11日