マッサージの治療的作用とは

 マッサージ、あん摩、指圧の施術を受けるうえで、治療という認識の人は少ないような気がしますが、リラクゼーション(疲れを癒す)そのものが治療という見方も出来ると筆者は考えています。

 

 施術を受けた人が、何かしらの満足感を得られればリラクゼーションだろうが治療であろうが、どちらでも構わないでしょうが、国家資格者であるマッサージ師ならば治療的な効果を期待できる施術方針・手技・知識が求められるのではないかと筆者は考えます。

 

 マッサージによる刺激は脳に伝えられます。体は外的な刺激を受けた際の反応のひとつに”反射”があります。その反射には体性神経反射や自律神経反射などと呼ばれるものがあります。体表が受けた刺激に対して汗、体温、呼吸などに作用する、自律神経系の働きに関わるものなどもその一例です。

 

 とはいえ、あん摩, マッサージ, 指圧に期待する代表的な効果といえば、筋肉や関節の不具合や痛み(こり)の改善ではないでしょうか。そして、これらも、反射などで説明できる部分があると考えられています。

 

 あん摩, マッサージ, 指圧といった体表への刺激による反射の作用が人体におよぼす影響についての研究報告もいくつか存在します。

 

 たとえば、胸部, 背部, 腰部の振戦法や叩打法によって心臓の収縮力が増し、動脈は緊張し、血圧は上昇するという「ハーゼブロック実験」。揉捏法を体の抹消部に行うと、心臓に負担をかけずに、その部位の循環を促進するという「芹澤実験」。圧を加えることによる発汗や体温との関係を述べた「圧反射の研究」などもそのひとつです。

 

 また、マッサージ直後は一過性に血圧が上昇した後に血管が拡張して動脈血流が促進し、局所的な充血と全身の循環促進につながると述べた「ゾンメルブロード実験」。そして、刺激の強度による生体機能の変化を説いた「アルント・シュルツの法則」ほか、マッサージなど体への刺激による生体の変化について、まさしく治療の概念に通じるものであることの研究は他にもあります。

 

 お客さんあるいは患者さんが納得できれば治療だろうがリラクゼーションだろうが、呼び方や手技はどうでも良いという施術者もいるし、筆者もそれを同感です。

 

 しかし、医療として取り組むうえでは、どういった治療方針のもとに、どのような手技でどういった治療効果を期待するかを考えることは大切だと筆者は考えます。

 

【関連リンク】

美容鍼

芸能-スポーツ

頭痛-首こり

ヒント-生活の質の向上

腰痛-肩こり

 

*リライト:2020年3月27日