腰痛を訴える患者さんに、特定の動作や姿勢で生じる痛みやシビレといった症状の再現性を確認することは、治療方針を考えるうえで大切な情報です。
問診を行うことで、原因を探るうえでどのような理学検査が有効か否か判断しやすくなり、患者さんへの負担も軽減できると考えます。
鍼灸治療、マッサージ治療ではレントゲンなどの画像検査が出来ないため、詳細な問診や最低限の理学検査などを行わなくては治療方針を立てられないケースが多々あります。
特に腰痛の場合、安静にしていても痛みが生じていたり、脊椎と肋骨脊柱角の叩打痛があれば脊椎圧迫骨折や内蔵疾患などの疑いも考えられるため、針灸師やマッサージ師による治療の適応外になります。ですから、「医師と相談した方がよい」と助言するのも筆者らの役目と考えています。
下肢のシビレや痛みの確認は、原因が血管性または神経性によるものかを推察する材料のひとつになります。
下肢のシビレや痛みが両側か片側かを確認し、片側であれば椎間板ヘルニア、梨状筋症候群、椎間関節性腰痛、変形性脊椎症、脊椎すべり症、股関節疾患、閉塞性動脈硬化症、脊柱管狭窄症などが疑われます。
両側であれば、脊柱管狭窄症や閉塞性動脈硬化症などが推察されます。
間欠跛行が生じる場合も、脊柱管狭窄症や閉塞性動脈硬化症が疑われます。
下肢に痛みやシビレが生じない場合には、まずは関節や筋肉や靭帯などが原因ではないかと推察します。
腰の痛みが腸骨稜よりも上か下かを確認します。上部であれば変形性脊椎症、椎間関節性腰痛、脊椎すべり症、スプラングバック、筋・筋膜性腰痛などを推察します。
腸骨稜よりも下部であれば、股関節性腰痛、股関節屈曲拘縮、仙腸関節性腰痛などが考えられます。
なお、特に急性症状の場合、前屈と後屈のどちらも痛みが生じることがあるため、それだけでは原因を推察しにくいですが、可動範囲や痛みの程度をチェックしておくことで、術前・術後の治療効果を確認することができます。
鍼灸師やマッサージ師は確定診断(病名をつけるなど)が出来ませんし、許されていませんが、どのような疾患や原因が推察できるかを考えなければ、効率的に効果が期待出来る治療は行えないと考えます。
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*リライト:2020年1月29日