顎関節症と鍼・マッサージ治療

 顎関節症とは、顎関節の痛みや顎関節の動きに作用する咀嚼筋の痛みや不具合、口の開閉時に顎関節に異音が生じるなど、顎関節をとりまくさまざまな不具合の症状全般をさします。

  

 その原因のひとつに、歯ぎしりや噛みしめ癖が考えられます。また、側頭部に圧痛を訴える人の中には、顎関節の不具合からくる痛みではないだろうかと推察する人もいます。

 

 咀嚼筋には外側翼突筋、内側翼突筋、側頭筋、咬筋などがあります。顎関節の動きはやや複雑で開口時は下あごがやや前方にスライドするようにして下がり、閉じるときには下あごを引き上げて、やや後方に引くことになります。

 

 そのため、顎関節の動きによる異音や局所的な痛みでは関節円板と下顎頭との連動性に不具合が生じている場合もあると考えられています。

 

 口は垂直方向にどのぐらい開くのが顎関節の可動域として理想とされているかというと、人差し指・中指・薬指の3本(あるいは小指も含めて4本)が、上歯と下歯の間に入る幅が目安といわれることもあります(または、4〜5㎝ぐらいを目安とする考え方もあるようです)。

  

 筆者は美容鍼や頭皮鍼、疲労回復やストレス解消などの不定愁訴での全体調整を目的にした治療を行う際、顎関節周辺や咀嚼筋(特に側頭筋)を触診することがあるが、圧痛を自覚する患者さんが少なくない。

 

 そういった患者さんへ、噛み締めや歯ぎしりといったブラキシズム様習癖の有無を尋ねると、「他人から指摘されたことがある」など、あらためて気づく人もいます。

 

 東洋医学では全身のバランスの乱れが痛みなどの不調を生じさせるという考え方があります。すなわち、頭痛や頸部痛や肩こりの原因が顎関節の動きをとりまく不調にあるという見立てをする場合もあり得るのです。

 

 顎関節症に対する鍼治療やマッサージ治療では、ツボとしては頬車(きょうしゃ)、下関(げかん)、牽正(けんせい)、翳風(えいふう)、天容(てんよう)、耳門(じもん)、聴宮(ちょうきゅう)、聴会(ちょうえ)など、症状によって効果的と考えられているいるものがいくつかあります。

 

 お灸も良いという治療家もいますが、筆者は顔面部へのお灸は極力しないようにしています。お灸をするとしても台座灸で、最高温度が50度以下ぐらいの低温のものです。

 

 温熱療法としては鎮痛やマッサージ効果も期待出来る超音波治療器を使用することがあります。

 

 運動鍼といって、鍼をした状態で顎関節を動かしてもらう治療法を用いることがあります。少し辛さを伴いますが、原因が筋肉にあると推察する症状の場合には、効果が期待出来ます。

 

 違和感が生じたら、短期間に定期的に治療を受けるのが効果的と考えます。

 

 鍼治療は概ね何でもそうですがが、特に運動器系の愁訴は、治療当初に間隔を開けてしまうと症状がすぐに戻ってしまうことが多々見られ、なかなか改善しにくいものだったりします。

 

 いずれにしても、顎関節に違和感を感じたら、まずは歯科医に相談することをおすすめします。

 

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*リライト:2020年1月27日