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五十肩、肩関節痛・・・しっかり鑑別!

 中高年の肩関節痛といえば「五十肩」が思い浮かぶという人も多いでしょう。

 

 五十肩は病名ではありません。肩関節周囲の組織における退行変性がベースにあり、肩関節に痛みや可動域の障害があらわれる症状全般をさすもので、特定の疾患を意味するものではありません。また、肩関節周囲炎の類と呼ばれることもあります。

 

 肩関節の痛みといっても症状はさまざまで、何もしていなくても痛みがある自発痛や夜寝ている時に痛む夜間痛もあれば、肩関節の動作(主に屈曲・伸展、外転、外・内旋など)時に痛みが生じて可動域が制限されるなどです。

 

 腰痛や膝関節痛と同様に、肩関節の痛みもまた、鍼やマッサージの治療が痛み緩和に効果が期待できます。

 

 「五十肩」「肩関節痛」といっても、痛めている部位と治療部位をしっかりと鑑別しなくてはなりません。

 

 その点では、腰痛よりも痛めている部分がある程度推察しやすい反面、治療部位を間違うと治療効果が全くと言っていいほどあらわれないのも特徴ではないかと思います(筆者の持論です)。

 

 運動器系の主訴に対して行う検査と言えば「徒手検査」があります。水泳や野球のように、肩関節に大きな負荷がかかるスポーツをしていない中高年の場合に行う徒手検査は概ね限定できます。

 

 それは外転運動、結髪・結帯動作です。外転運動の検査法には「上がるか否か」「特定の高さで痛み・・・」「施術者が補助する手を離すと下がる」などをチェックするといった検査法もありますが、なによりも「自動と他動」「左右差」の鑑別が重要です。

 

 また、五十肩(肩関節周囲炎)の疑いを推察した場合、進行度合いがどの程度にあるかを考える必要があります。なぜなら、進行度合いによって治療部位が異なるためです。

 

 五十肩の特徴のひとつに可動域と痛みの程度に「反相関性」があると考えられています。初期の段階では自発痛や夜間痛、ある程度進むと運動時痛と可動域障害。さらに進むと運動時痛は弱まるものの可動域障害が残る傾向がみられると言われています。そのまま自然治癒しても可動域障害は残ってしまうこともあります。

 

 仮に、医師から五十肩と診断されてから2年近く経過した後に、痛みはおさまってきているが、腕が以前ほど上に上がらないといった症状であれば、癒着に対する治療も念頭に入れた治療も考えます。

 

 また、他動でも肩を90度以上外転させられないとなれば、肩腱板を傷めている可能性は低くなると推察し、棘上筋や棘下筋や小円筋などを中心にした施術では、改善効果があらわれにくい可能性があります。

 

 鍼師、きゅう師、マッサージ師は画像検査をすることが出来ません。それだけに、患者さんの期待に少しでも応えられるようにするためには、問診と検査をしっかり行ったうえで治療方針を検討することが何よりも大切です。

 

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*リライト:2020年3月3日