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整骨, 接骨, 整体, マッサージ, 鍼灸・・・腰痛にはどれ?

 詳細な説明は、むしろ理解しづらくさせてしまいかねない。そのぐらい複雑といえば複雑です。

 

 さらに、見出し以外にもオステオパシー, カイロプラクティックス, 指圧, あん摩なども腰痛を対象にした理論や手技があり、これらまで選択対象に加えるとキリがなくなってしまいます。

 

 日本における”治療行為”とは何かと問われたら、私だったら「健康保険の適用が認められている施術行為」と答える。厳密には法律で定められているが、こちらの方が分かりやすくないだろうか?

 

 すなわち、国家資格を取得したものだけが、いわゆる”治療”として施術が行えるのです。

 

 見出しの「整骨, 接骨, 整体, マッサージ, 鍼灸」の中で、原則的に国家資格保有者しか行えないのはどれかというと、「整骨, 接骨, 鍼灸」である。 整骨, 接骨は「柔道整復師」、鍼灸の場合は「鍼(はり)師」と「灸(きゅう)師」に分かれている。

 

 微妙なのは「マッサージ」である。何が微妙かというと、原則的かつ法律的には「あん摩マッサージ指圧師」という国家資格のもとで行える治療行為であるが、巷にあふれる「○○マッサージ」のために、一般の人には区別がつきにくくなっているのが現状だ。

 

 前置きの一部だけでもこれだけ長くなるので、見出しのまとめに入りましょう。

 

 医師から「異常は見当たらない」と診断されたものの痛みがとれないという状態を前提とすると・・・

 

◎あん摩マッサージ指圧師の国家資格保有者による施術。理由は、日本では視覚障害者の仕事として育まれた業のひとつという一面があり、手指の感覚を大事にする教育が受け継がれています。腰痛の原因は関節であったり、筋きん膜にあったりなどさまざまなので、手指の感覚に長けた者に施術を受けるのが望ましいでしょう。

 

◎とにかく保険を使って費用をおさえたいという方は「保険適用」の施術所。ただし、1回の施術時間が20〜30分前後というところが多いのはやむを得ないです。また、整骨院や接骨院での手技は「マッサージ」ではない場合もありえます。前述した通り、治療行為として「マッサージ」と称せるのは「あん摩マッサージ指圧師」だけです。

 

◎はり(針, 鍼)が「理屈抜きで嫌い」でなければ、鍼灸は現代医療ならびに日本国内における「医業類似行為の頂点」と個人的に考えています。その根拠は、皮下組織に物理的刺激を直接あたえることが許されているためです。なお、骨折や脱臼の治療は法律的に許されていません。

 

 結論です。ご自身にあった施術をしてくれる治療院や施術者と出会えれば、どこでも良いと思います。

 

 これは決して開き直っているわけではありません。

 

 なぜなら、「大学病院」と言っても結局は医師次第という観点では、現代医療だって同じだと考えます。病院をハシゴしたあげく整骨院,接骨院,鍼灸治療院に辿りついたという人もいます。

 

 ただ、病院の延長で考えた場合、内臓疾患からくる関連痛, 神経性, 心理社会性など包括的かつ客観的にとらえる教育を受けているか否かという観点では、針灸師やあん摩マッサージ指圧師が長けているのではないかと考えます。

 

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